- EDITOR’S PICS

August 7th, 2017

クリエイションを買う

自分が洋服屋になった時にこんなに洋服屋があったかな、と思い返すとここまではなかったし選択肢もそこまでもなかったように思います。ましてやネット通販なんてあったにとしても発達していなくて(通販といえば、テレビか冊子でしたし)、誰もが通販をするような時代なんて想像していなかった時代でした。携帯電話もなかったですもんね。

情報と言ったら、雑誌やテレビや口こみしかなくて、その他は街で見かけたかっこよく見える人がお手本。情報がなかったけれど逆に今思えば、そんな時代って原始的で本当にシンプルで幸せだったなと思います。今は本当に洋服を買う手段が増えましたし、変なデザインの洋服もない。駅やその辺で簡単にそこそこのものが買える。ヘンテコな格好をするための洋服を探そうとする方が困難なくらい。そんな時代に物を買う心理の差は、「こだわり」でしかないように思います。みんなと同じ、そこそこの見え方がしたいなら本当にどこにでも同じようなものがある世の中なので。

最近バイイングをしていて考えるのは、きちんと考えられた洋服を買いたい、ということ。これはいつもKELLYの品揃えの中で欠かせないキーワードなのですが、最近改めて強く感じています。プロが時間をかけて考えた「クリエイション」をバイイングしたいし、それをお客さまにお伝えしたい、と感じています。本当のクリエイターが少なくなってきているこの時代。洋服業界への参入も簡単になってきていますし、世の中全体的に消費に対してこだわりが希薄になってきています。きちんと考えられたものをバイイングして、「本当の消費の意味」と「こだわり」をお伝えしなければ、と思います。価値を共感してものを買う時代は終わったように感じます。お客様と同じ目線で共感し合いながら買い物をする時代は過ぎて、こだわりが希薄な市場に私たちがティーチングしていかなければ、本当にいいものが世の中に残らなくなってしまう。プロが作ったものを私たちが伝道師となってちゃんとお伝えしなければ、クリエイターもお店も残っていかない。価値のあるもの。素敵なもの。非効率なものですが、世の中に潤いをもたらすものを大切に紹介していきたい、と思います。