- EDITOR’S PICS

January 16th, 2017

マイスタンダードを探す。

ここ数年は「スタンダードアイテム」ということばそのものがスタンダードになった感があります。それをリスト化した雑誌やウェブマガジンの特集も多く、ただ単純に「定番アイテム」を羅列しただけでなく、それを選ぶひとの個性や内面が映しだされたリストは、眺めているとなかなか楽しく、なるほど、こんな愉快な視点があったかと、ひじょうに興味深いもの。そこで自分にとってのスタンダードアイテムとは何か、改めて考えてみることに。

TOM FORD のビューティー製品(完璧な美意識のかたまり)。加島屋本店(新潟のDEAN&DELUCA)。LA PERLAの下着(タトゥーみたいに繊細な美しいレース!)。バッハのコーヒー(コーヒー通へのギフトにも)。オザワ洋菓子のいちごシャンデ(シンプル、完璧なバランス)。CARTIERのボールペン(なくしては補充、をくり返している)。

靴でも化粧品でも、好奇心のままにどんどん、なんでも試します。そしてそのときの気持ちにいちばんフィットするものを選びます。でも上にあげたこれらは、ほかのどんなものとも別格な、私にとって最強のスタンダード。もしご興味があったら皆さまもぜひお試しになってみてください。

しかし洋服の「スタンダード」となると、これがまたちょっと変わってくるのです。
“ブランド”や“シルエット”よりも、スタンダードとして結局クローゼットに残っていくのは「素材」なのだと気づいてから、洋服選びで最もこだわるのは“素材”になりました。カシミヤとかシルクとか、一般的に「良い素材」といわれるものが良い、というわけではなく、その素材だけがもつ個性も大切にしています。
たとえば、シェットランドウールのごわごわした素朴さ、明快な発色。カシミヤには絶対だせないフレッシュな印象があるのです。
目をこらしてじっと見ると、荒々しくも細やかな糸の連なりにうっとりしてしまうハリスツィード。これもまたごわごわと窮屈だけど、イギリスの原野を思い起こさせる、ユニークでセンチメンタルな素材。オイルドクロスも素敵ですよね。ジェイミー・オリヴァーがディナーの素材を求めて鳥打ちに行く番組で、小雨のなかオイルドクロスのハーフコートで獲物を仕留めるのを見てからは、キャンプとか野外活動にこれを着るのに憧れているんです。

エンリーベグリンのワイルドで革新的なレザー、ドリスヴァンノッテンの凝った刺繍入りファブリックなど、ちょっと思い出してみるだけでも、すでに数えきれない種類やジャンルが存在している「素材」のバリエーション。色、かたち、そして素材、三つの要素で形成されているのが洋服。そのうちのひとつ、素材にフォーカスしてマイ・スタンダードアイテムを選んでみる。ちょっと視点を変えて何かを見るのは、なかなか楽しいですよ!