- EDITOR’S PICS

January 25th, 2016

IN THE BAGGAGE

これを読んでいただいている時には、私はメンズのバイイングでニューヨークに到着している頃。先週はミラノでしたが、本格的に2016AUTUMN&WINTERのバイイングがスタートを切っています。

私にとってミラノ行きは初めての体験。かつては先輩や上司たちが何度か行っていたものの、最近はそこにまつわるブランドの取り扱いがないのもあって我が社としてはご無沙汰の土地でした。ファッションの仕事をしていて、ニューヨークに行ってパリに行ってミラノに行ったことがないというのも偏った感じがしていて、3都市を知り広い視野をもってそれぞれの違いを語りたいと思っていたので、念願叶ってのミラノ行きとなりました。

最近ミラノに行っていない上司から「時が経っているからよく見てきて」と送り出され、「よく見る」というシンプルなその言葉の意味は、何かを感じてきなさい何かを掴んできなさいの意味であろうと解釈し、少々のプレッシャーを感じながら旅立ちます。今考えるとこれまでは上司が海外で足跡をつけてきたところを、なぞるように仕事をしてきて、楽とは全く思って仕事をしてはいませんでしたが、「守られている」という意味では楽に仕事をしてきたように思います。相当に渡航経験がある私ですが、いろんな意味で初めてのづくしの旅はスタートしました。

リナーテ空港にまず到着。ガイドブックに書いてある市内行きのバスを探します。こんな時はタクシーに乗っちゃった方が早いんだよね、と思っていたら日本で上司に「土地勘ができないから簡単な方法を選ぶな」と言われ、着くのは夜の9時すぎだし怖いし一応女なんですけれど…、と言えずにタクシー作戦を諦めてバス&地下鉄の手段へ。サンバビラ広場行き73番線、ガイドブック書いてあった記号を探し歩きます。73とサンバビラが書いてあって待ち人がたくさんいるバス停を発見。切符を買うところがないけれど乗車したらわかるかなと思いきや、誰も切符らしきものを持っていないし、乗ってからわかったのは支払って降りていない!しかもガイドブック上の写真のバスと違うんだけれど…。びびりながら乗車しますが、このバスが正解かは全く分からない状態でバスはどんどん進んでいきます。もしも全く反対の方角に乗っていたとしたらアウト。知らない土地で帰る方法も分からない。空港近郊の真っ暗な風景から徐々に繁華街っぽい風景になって少し安心。何か間違いがあってもなんとかなりそうな空気の場所に着きそうです。バイイングで旅の回数はこなしているので、嗅覚は養われていて知らない土地での勘どころは鍛えられているようです。次の日からもあまり間違った方へは行かない自分がいて、積み重ねてきた経験や時間ってすごいなと自分自身で感じました。

広場に着き、ここは安全をプライオリティにして(完全に言い訳なのですが)地下鉄を諦めてタクシーをひろうことにします。なぜなら街のど真ん中ですが夜は意外と人がいなくて怖いから…。ホテルのサインが見えた時は安堵しかなくて、今日ベッドで寝ることが出来るのがダブルミーニングで幸せでした。何かを乗り越えて、それを何層にも積み重ねていくことで心の幹が強くなっていくような気がします。自分でも、初めてのお使いかっ!?と突っ込みたくなるのですが、ちょっとしたミッションのクリアが自分を強くしてくれている感触があります。

次の日からはすぐに地下鉄でどこにでもガンガンいけるようになった私。アポイント後にガイドブックを片手にリサーチをしていると、日本の取引先の会社スタッフ2名に偶然遭遇。私の手元のガイドブックを見て「渋いの持ってますね!」「海外に行きまくっている人じゃないみたい」。「これが私の命綱なんですよー」と答えたけれど本当は「先輩につれられているうちはこの本の大切さはわかるまい。素人だな」と言ってあげたかった。まあ私も数日前まで素人だったのですけれどね。自らが開拓したことは、受け売りでやったこととは心や頭への入り方が大きく違うものです。実体のある経験を積み重ねていきたいものです。

cc