ファッションがおしえてくれること。
letter from BYKELLY
2011-04-23 15:20

先日とてもきれいなひとを見ました。
喫茶店で、こちらに背を向けて座っていたので、顔の造作は全然、わからない。
すっと伸びた姿勢や、カップに伸ばすその味わいある指のかたち、
組み直す足の動きが美しいのです。
今季のステラ・マッカートニーと一目でわかる、
フラワープリントのジャケットを着ています。
コーディネートが良いとか、インなブランドを着てるというだけじゃない、
彼女の後ろ姿には「こころ」が現れているように思えました。
私は立って行ってそのひとに、あなたはとてもきれいです。と伝えたかった。
もちろん、まったく知らないひとに急にそんなこと言われても薄気味悪いだけでしょう。
でも事実、私は彼女にとても惹きつけられた。
自粛がヒステリックに叫ばれるなかで、彼女があえて選んだに違いない(と思いたい)
そのジャケットに描かれた鮮やかな花たちに、すごく癒された。
また元気になれるかもしれない、と思えた。
そんなふうに思うのはきっと私だけじゃないだろう。
ことばを交わさなくても、きっと皆同じなにかを心に抱えてるに違いないから。
節電だけが理由じゃない、薄暗くて巨大な不安に覆われたこの東京で、
そのひとの周りだけが、新鮮で、あたたかくて、やわらかだった。
席を立ったそのひとに合わせて思わず腰を浮かしかけると、
どうかしたの、と驚く同行の知人も、私の視線の先にあるものを見て、
「きれいだね。」と静かに言って再び新聞に目を落とした。
あっという間に人ごみに消えていくそのひとの凛としたたたずまいを、
私はこれからもきっと忘れない。
大きな悲しみから、もう間もなく2ヶ月が過ぎようとしています。
「ファッション」ができること、やるべきことは、まだまだたくさんあると信じています。
皆さまはいま、なにを着ますか?